28Nov
食後のコーヒーを飲みながらマダムの話を聞いていた。
「私の姪は日本人なのよ」
姪が日本人? 私は耳を疑った。
「ご兄弟が日本人と結婚したの?」って聞いたら、「そうではない、、」と。
マダムのご兄弟には子供さんが出来なくて、日本から養子をもらったと言う。
確かに養子をとっているイタリア人は珍しくない。でもその国籍は、インド、バングラデシュ、中国といった国で、日本からというのは聞いたことがない。
ご兄弟はどうしても日本人の子供がほしくて、
日本人の知り合いの知り合いをたどり、色々な人のお世話になってやっとのこと生まれたばかりの赤ちゃんを見つけたのよ、と。
養子縁組の手続きが大変で、日本に3か月も滞在したと言った。
私がこの話を聞いたのはもう10年以上前のことで、そのときすでに養女Tさんは大学で医学を学んでいた。
町の人気者だと嬉しそうに語った。
その時私は以前に読んだナポリ東洋大学で長く教鞭をとっていた坂本鉄男先生の「イタリア歴史の旅」を思い出した。
坂本先生といえば、イタリア語をかじった人ならだれでも知っているイタリア文法の権威だが、珍しく紀行文を書かれたので、興味深く読んだのだが、その中にこの養女Tさんの話があったのを思い出した。
本の中で読んだ内容と同じことを、嬉しそうに語るマダム。
小説のような出来事だった。
マダムは最後に少し悲しそうな顔でこう言った。 「でもね彼女は日本のことを話したがらないの、、日本にも行ったことないし」
私はこの日本人養女Tさんの幸せを祈らずにはいられなかった。
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コメント
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コメント (2)
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先日はご訪問ありがとうございました。
日本人の養子の話は、ずいぶん前にテレビ番組の取材で取り上げられていて見たことがあります。その時はすごく不思議な話だなぁ~と思いました。
今ほど、日本人が海外旅行に行く時代でもなかったし、なんか「♪赤い靴はぁいてたぁ~女の子ぉ~」の童謡みたいだと思った記憶があります。
また遊びに伺いますねぇ~
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書き込みありがとうございます。
この話はもう10年以上も前にタオルミーナにいったときに聞いたのですが、個人的なことなのであまり人に話したこともありませんでした。
今回タオルミーナの事をかいていたら思い出して、もう時効かなぁっておもって書いたのですが、TVでやってたんですか?^^;;;あはは